3Dプリント愛好家の皆さん、こんにちは!
りくぴいです。@rikupii_gadget
3Dプリンターでありがちな問題として、造形物の表面が荒かったり、フィラメントの糸引きに悩んだりしていませんか?
これらの原因はフィラメントの吸湿によるものがほとんどなんです。
せっかく完成した造形物が糸引きまくって仕上がりが汚いのは、フィラメントも無駄になるし、気分も落ち込むもの。
ジップロックと吸収剤で吸湿対策は万全なのに、どうしてと思うかもしれません。
実は空気中には水分が含まれており、フィラメント使用している間にもフィラメントは少しづつに吸湿しています。
冬場は空気が乾燥しやすいイメージがありますよね。実際には暖房器具であったり加湿器を使ったりしていると夏場と変わらない湿度になりがちです。
保管時だけでなく、【フィラメントの使用時においても湿気対策が大切になる】ということなんですね。
今回の記事で紹介する「SUNLU FilaDryer S2」は、フィラメントを吸湿から守りながら、プリント品質を向上できる優れたフィラメントドライヤー。
高湿度の環境下でも安定した3Dプリント品質を維持できるので、梅雨~夏の時期にはとくに重宝することでしょう。
「FilaDryer S2」の優れている点は、フィラメントを湿気から守るだけではありません。
360°からの効果的なヒーター熱により、吸湿してしまったフィラメントも効果時に乾燥できるので、溜まってしまった使いかけのフィラメントも無駄なく使いきることができますよ。
3Dプリントのクオリティを向上させるためには、フィラメントの状態を良好に保つことが非常に重要です。
自分の作った3Dモデリングデータを、1回できれいに造形できるほど嬉しいことはないですよね。
この記事では、SUNLU FilaDryer S2の特徴や使用方法を詳しく解説していきます。
SUNLU FilaDryer S2 概要
SUNLUとは
SUNLUは、2013年に中国・珠海に設立された3Dプリンターのフィラメントおよび、周辺機器に特化した専門メーカーです。
同社はの強みは、「印刷用品の都」と称される珠海において、3Dプリント消耗品・3Dプリントペン・手書きデバイスの研究開発に豊富な経験と技術力を持っていること。
年間4200トン以上の3Dプリンターフィラメントを世界中に出荷する世界的メーカーであり、累計で26万個以上のフィラメントドライヤーシリーズを全世界に提供しています。
日本においては、株式会社サンステラが代理店としてSUNLU商品を取り扱っています。
特徴
SUNLU FilaDryer S2の特徴は下記6つです。
- 360°全方位でフィラメントを最高70℃まで加熱可能
- PLA/PETG/TPU/ABS/PA/PCの自動パラメータ設定
- 乾燥時間を精密に調整できる
- 6.4インチのタッチパネルによる簡単操作
- 乾燥中も3Dプリンタでの出力が可能
- 電気用品安全法(PSE)の認証済を取得
外観とスペック
カラーについてはブラック・ホワイトの2色となっており、お部屋の雰囲気に合わせてえらべます。
1時間あたりの電気代
SUNLU FilaDryer S2の最大動作電力は48Wです。
ヒーター・エアコンと比較すると消費電力は控えめなものの、電気料金が高騰している昨今では気になるところですよね。
48Wの消費電力で1時間使用すると、どれだけ電気代がかかるのか計算してみました。
SUNLU FilaDryer S2を1時間使用した時の電気代
48(W)×1(時間)÷1000×31円=1.48(円)
(電気料金は、全国家庭電気製品公正取引協議会「電力料金目安単価」から1kWhあたり31円(税込)として計算しています)
SUNLU FilaDryer S2を使用すると、1時間あたり1.48円の電気料金が発生します。
使用時間 | 電気料金 |
---|---|
1時間 | 1.48円 |
5時間 | 7.4円 |
10時間 | 14.8円 |
20時間 | 29.6円 |
40時間 | 59.2円 |
電気代については、各家庭の電気契約プランによって料金も異なるため、あくまで目安なものの、1時間あたり1.5円程度で使えるのならば気兼ねなく使えるといえます。
中国電力 従量電灯A 300kWh超過 1kWhあたり30.26円で計算しています
SUNLU FilaDryer S2を最大温度の75℃で10時間稼働させて、実際に電力消費量・電力料金を計測してみました。
実際に使って、10時間で12.4円の電気料金です。
検証の結果、家計にやさしいといえますね(個人的には)。
妻がしきりに電気代を心配してたけど安くて安心しました
SUNLU FilaDryer S2 の使い方
SUNLU FilaDryer S2の使い方を紹介します。
非常にシンプルな構造のうえ、大きくて操作性のよい液晶ディスプレイが備わっているため、直感で操作可能です。
- フィラメントをセットする
- 電源を入れる
- タイマー・温度を設定
使い方はとても簡単!
フィラメントをセットする
FilaDryer S2をプリンター近くの安定した平面に置いてください。
フタを開け、フィラメントをFilaDryer S2の中に入れます。
FilaDryer S2のドラム底面には2本のローラーが配置してあり、ローラーの回転によりフィラメントを回転させます。
フィラメントを乾燥するためにも使えるうえ、梅雨での高温多湿での使用時に空気中の水分の吸着を防いで、3Dプリンターを安定して造形させるのにも最適です。
フィラメントの端を取り出し口から引き出し、3Dプリンターのフィラメント取り入れ口まで導いてください。
ワンポイントアドバイス
明らかに吸水しているフィラメントを使用するときは、エクストルーダーに接続せず、3時間~6時間以上しっかり乾燥させてください
取り出し口の直径は3mm。
ボーデン式3Dプリンターに使用するPTFEチューブを挿して使用できます。
電源を入れる
電源アダプターを本体に接続し、コンセントに差し込みます。
アダプターの長さは120cmと少し短いため、コンセントに届かない場合は延長タップを使用してください。
電源アダプターのサイズは99mm×49mm(実測値)と、少し大き目なものの、プラグの位置が適切でコンセントに差しても他のコンセントの邪魔にならないのがいいですね。
タイマー・温度を設定
正面にあるタッチパネル式の液晶画面の右下に表示されている「ON/OFF」アイコンを2回タップすることで電源をONにできます。
任意の温度設定を行う場合
SV(設定温度) | 35℃~70℃ |
Time(乾燥時間) | 設定なし~99時間 |
基本的に上記2つの操作でOKです。
フィラメントの素材に合わせて温度設定を行う場合
Material(素材) | PLA/PETG/TPU ABS/PA/PC |
Time(乾燥時間) | 設定なし~99時間 |
フィラメントの素材に合わせた適度な温度もおまかせでしてくれます。
フィラメントに合わせた温度を調べる必要がないのでより簡単に設定可能です。
液晶ディスプレイ表示部の説明
PV | 庫内の温度 |
RH | 庫内の湿度 |
LED(イルミネーション) | OFF・ON・RUN(早い点灯) |
液晶ディスプレイには庫内温度・湿度も表示されるため、フィラメントの状態が客観的にわかるようになっています。
乾燥中は、定期的にFilaDryer S2のディスプレイをチェックし、温度や残り時間が適切であることを確認してください。
FilaDryer S2が自動的にオフになったら、数分待ってからフタを開け、フィラメントが適切に乾燥されているか確認してください。
乾燥が十分であれば、3Dプリンターでフィラメントを使用してプリントを開始できます。もしまだ湿気が残っているようであれば、再度乾燥プロセスを繰り返してください。
メンテナンスと保管
FilaDryer S2の使用後は、電源を切り、電源アダプターを外してください。
汚れがついた場合はやわらかい布・マイクロファイバークロスでふき取ります。
蓋のクリアケース部は硬い布でこすると傷が入りやすいので注意してくださいね。
SUNLU FilaDryer S2使ってみた効果
フィラメントの素材はPLAで、8か月前に開封したものを使用しています。
吸水したフィラメントを使用すると、造形不良やノズルのつまりの原因に。
また、ノズルからの押し出し時に抵抗が生じて、エクストルーダーからコツコツと音が発生しやすくなります。
今回の検証では、糸引きもなくきれいな造形に仕上がっていますね。
SUNLU FilaDryer S2の気になる点
FilaDryer S2の気になる点は下記の3つです。
- 容量は1,000g、一巻のみ
- 密閉容器でないのでフィラメントの保管には不向き
- A/Cアダプターの長さが120cmと短い(延長コードが必須)
SUNLU FilaDryer S2で乾燥できるフィラメントは1,000g、一巻のみとなっています。
長時間造形でのフィラメント切れ防止に最適な「3キロフィラメント」には対応していません。
一巻のみの収納なので、複数のフィラメントを同時に乾燥させたい場合には不向きなものの、デュアルヘッドの3Dプリンターでないかぎりは必要十分と感じました。
A/Cアダプターがあと10cm長いと取り回しもよさそう
他のフィラメント乾燥機と比較
商品 | 乾燥温度 | 容量 | タイマー時間 | 価格/評価 | フィラメント径 | サイズ | ヒータ配置 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
SUNLU FilaDryer S2 S2 | 35℃~70℃ | 1,000g/一巻 | 0~99時間 | 9,999円/ 評価4.4点 | 1.75mm / 2.85mm | 265(L)×274(W)×118(H)mm | 360° |
SUNLU FilaDryer S1 Plus | 35℃~55℃ | 1,000g/一巻 | 0~24時間 | 6,170円/ 評価4.4点 | 1.75mm / 2.85mm | 237(L)×271(W)×100(H)mm | 180° |
eSUN eBOX Lite | 40℃〜55℃ | 1,000g/一巻 | 0〜18時間 | 6,999円/ 評価4.2点 | 1.75mm/2.85mm/3mm | 215(L)×238.5(W)×104(H)mm | 180° |
他のフィラメント乾燥機と比較して、FilaDryer S2 S2 は価格がやや高いですが、オススメするポイントは下記4つです。
- 乾燥温度が35℃~70℃
- タイマーが99時間まで設定可能
- 360°配置のヒーターでムラなくしっかり乾燥可能
- ファンレスで動作音は10dB以下(かぎりなく無音)
乾燥温度が35℃~70℃で幅広く選べるので、さまざまな素材のフィラメントに対応可能なのは嬉しいポイントです。
タイマーも99時間とたっぷりあるので、造形途中で乾燥が止まってしまうのを防いでくれます。
360°配置のヒーターでムラなくしっかり乾燥させるだけではありません。
ヒーターの熱を循環させるためのファンも不要とすることで、従来のフィラメント乾燥機にありがちだった動作音もかぎりなくないのは、FilaDryer S2 S2 ならではのメリットですね。
よくある質問
- どのようなフィラメントが乾燥機で乾燥させる必要があるのか?
-
PLA 約0.5% – 1.5% ABS 約0.3% – 1.0% TPU 約0.5% – 1.5% PVA 約30% ナイロン66 約1.5% フィラメントは素材によって吸水率はさまざまなものの、基本的に吸水しやすいです。フィラメントの種類にかかわらず、乾燥させるのがベターです。
- 乾燥機の適切な温度設定は何度にすべきか?
-
SUNLU FilaDryer S2にはフィラメントの素材に合わせて自動で温度を設定してくれるモードがあります。
PLA/PETG/TPU/ABS/PA/PCの6種類から選択可能です。
- 乾燥機と3Dプリンタを同時に使用する際の注意点は何か?
-
新品のフィラメントであっても、製造工程・梱包過程で空気中の水分を含む場合も考えられます。2~3時間ほどSUNLU FilaDryer S2でフィラメント乾燥させてから、3Dプリンターと同時使用するとより効果的といえます。
まとめ
SUNLU FilaDryer S2は、吸水してしまったフィラメントを効果的に乾燥させるだけではありません。
梅雨や夏のような高湿度の時期にも、フィラメントの水分吸収を気にすることなく、安定した3Dプリント品質を維持できるという大きな利点があります。
3Dプリンターは失敗がつきものです。
原因の一つをひとつずつ潰していくことが、成功への近道と考えると、3DプリンターのそばにSUNLU FilaDryer S2があると心強いといえます。